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2022年 2月 27日 「実学志向」を考える
こんにちは!担任助手の島倉です。
突然ですが、昨今の大学受験の大学・学部選びでは
「実学」
が重視される傾向にあると言われています。
今日はこの話題について書いていきます。
まず、「実学」とはなんでしょうか?
日本史選択の方でしたら「経世済民の学」の荻生徂徠などが、「実学」として紹介されていたことと思います。
荻生徂徠は学問の実用性や日常的・社会的な実践性を目指しました。農工商などの産業経済の発達は実業的な知識や技術を必要とし、「読み書きそろばん」に始まり、農学、本草学、天文学、暦学、医学どの学問が盛んになっていきました。
この「実用性」「実践性」を伴う学問が「実学」である、というところに一応の結論を見出そうと思います。
これを大学受験にあてはめた場合。
大学で学ぶ学問が、実践において役立つのであれば、それはその人にとっての「実学」としての価値をもたらすことになります。
一方で、いくら学んでも何らの利益が生まれないのであれば、それは「実学」ではないか、「実学」に分類されるとしても未成熟なものと言えるでしょう。
仮にこの二元論が成り立つとして、前者を選ぶ傾向が強まっているのは、現代の個人主義の隆興といった原因が考えられます(所詮ブログなので掘り下げませんが)。
ここで矛盾が生じます。
「実学」を学ぶのは大学であるがゆえに、大学での教育を受けなければ「実学」の中身は分からないのに、その選択をするのは高校生であるという点です。
長くなりそうなので大幅に議論を飛ばします。
実際の状況で考えてみましょう。
下の数字を見てください。
政治学科:2.8倍
経済学科:5.2倍
国際政治経済学科:2.8倍
これは、僕が入学した2021年度の早稲田大学政治経済学部の学科ごとの実質倍率です。
2021年度入試から数学が必須になるなどの大幅な入試改革や定員の変更が行われました。
そして今年の倍率がこちら。(入試結果が出る前の速報データですので、実際は定員の数倍の合格者がいることから、実質倍率はこの数字よりもかなり低くなります。学科ごとの違いを見てください。)
政治学科:9.1倍
経済学科:10.5倍
国際政治経済学科:8.7倍
2022年度では「政治学科・国際政治経済学科が穴場である」ことが判明したため、均衡が取れたと推論することができます。
裏を返せば、出願先の動向が全く分からなかった2021年度は、個々人の判断が如実に反映された自然状態であると言えます。
政治学科の学生としてひとつ言わせてください。
政治学より経済学の方が「実学」だと思っていませんか?
学んでみると、政治学だって十分実学です。
もっと言えば、経済学はあまりに範囲が広く(国家全体の経済など)、政治学の方が身近な現象を分析している印象です。
高校生という立場では、必ずしも正しい選択ができるとは限りません。
ではどうするか。
これをやれば万事解決!というものを提示することはできません。
日本の中等教育課程の問題点なのかもしれません。
教育には限界があります。なるべく理想に近づけるしかない。
手段としては、大学のホームページを見る、オープンキャンパスに出向くなども考えられます。
東進のトップリーダーと学ぶワークショップや未来発見講座も使ってください。(目的ではなく手段として)
狭い話では、「政治経済学部」「法学部」の「政治学科」にも目を向けてみてください。
あらゆることに興味を持って、学問の入口だけにでも触れてから、進路を選択できれば、少しは真の意味での主体的な進路選択に近づくことができるのではないでしょうか。